カッコーの巣の上で

久々に観たジャック・ニコルソンの代表作。監督は「アマデウス」のミロス・フォアマンだが、両作ともその年の主要なオスカーを受賞している。

精神病棟を舞台とした作品であり、テーマ性が強い。今回、約10年ぶりに観て感じたことがあった。

この映画の舞台、病院は、我々の置かれた環境と類似している。

いきなり核心なので失笑さえ覚えるかもしれないが、主演のジャック・ニコルソン演じるマクマーフィは、この病棟の患者管理の方法に疑問を持ち、彼なりに改革を行うことをよく思わない“管理側”から、病院という環境はおろか、人間としての存在からも“排除”されてしまうのだ。

我々が今生活している環境、社会の構造、当たり前だと思い込んでいる常識に何の疑問も無ければ、問題はない。使い道の詳細がはっきりしない税金を文句も言わず収め、自らを犠牲にしながら社会の一員になり、そして死んでいく。それが当たり前と思う人間は、この映画内の精神病患者となんら変わらないのではないか。

決められたプログラムと称された日課を淡々と過ごし、わずかな自由時間にすら喜びを見出せない人間は、今の人々の大多数だといって良い。管理する側からは非常に好都合だ。

一人でも、多勢を扇動するようなパワーのある存在は抹殺したいのが“管理する側”の本音であろう。イエス・キリストが分かりやすい例だ。

我々は、確実にコントロールされているはずだ。情報も都合の悪いことは知らされないことになっている。逆に、金持ちは勝ち組で、貧乏人は負け組という拝金主義、物質至上主義、弱い者は足蹴にされて当然といういわゆる弱肉強食社会を、ごく当たり前のように思い込まされる情報を刷り込まれているのではないか。

もはや人間性を失ったマクマーフィ(ジャック・ニコルソン)を“自由”にするインディアン。彼は狂ったふりをしながら無抵抗であった。しかし、アメリカ大陸の先住民でありながら、現在のアメリカ人に蹂躙された祖先を持つ彼は、最後に立ち上がる。

窓をぶちやぶり、鳥のように脱走するインディアンがおこなった行為は“殺人”だが、彼の行為が尊く思える。考えられなくなった人間、生き方を選択できない…自由を失った人間はは死んでいるに等しい。

我々は胸を張って“生きている”と言えるようにならなければならない。

今こそ、見直される映画だという感想を持った。カッコーの巣の上で
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